釜山発祥テジクッパの魅力!ソウルとの違いと本場の食べ方の裏技
テジクッパ と は、韓国第2の都市である釜山広域市が誇る庶民派グルメの最高峰であり、豚の骨や肉を何時間も煮詰めた濃厚なスープにご飯を合わせた名物料理だ。朝靄の立ち込める市場の路地に入ると、巨大な寸胴鍋から立ち上る豚骨の香ばしい湯気が冷えた空気を包み込む。どんぶりになみなみと注がれた乳白色のスープ、その下に沈むたっぷりの茹で豚肉。ひと口すすれば、コク深い旨味が一瞬で喉を駆け抜け、体の芯から熱がこみ上げてくる。
近年、韓国観光・トラベルの醍醐味が「知られざるローカルの原風景」へと向かうなか、多くの旅行者が現地で直面するテジクッパ と は単なる一杯の食事ではなく、朝鮮戦争の苦難を生き抜いた港町の人々の情熱そのものであるという事実だ。現代の韓国料理・外食産業を牽引する大衆の知恵が凝縮されたこの一杯は、いまや海を越えて世界中の美食家たちを惹きつけてやまない。
1. 映画『弁護人』やNetflixでも話題!テジクッパが釜山の魂と呼ばれる歴史的背景

釜山でテジクッパを語るうえで、1950年代の朝鮮戦争の歴史は避けて通れない。戦火を逃れて全国から釜山へと集まった避難民たちは、極度の食糧難のなか、米軍基地から手に入れた豚の骨や手に入りやすい端肉を煮込み、ご飯をかさ増しして命を繋いだ。この泥臭くもたくましい歴史こそが、フードカルチャー・ガストロノミーの観点からも極めて価値の高い現在のテジクッパの原型となっている。
名優ソン・ガンホが主演を務めた大ヒット映画『弁護人』でも、主人公が苦学生時代に通い詰めたクッパ店の温かい一杯が物語の重要な鍵として描かれていた。スクリーン越しに伝わる湯気と人情に胸を打たれた観客も多いだろう。質素だがエネルギーに満ち溢れ、食べる者に生きる活力を与える――それこそが、釜山の人々がこのスープを「魂」と呼ぶ所以だ。
2. ペク・ジョンウォンも唸る奥深さ!『天下一食』が暴いた豚骨スープの真髄

韓国屈指の料理研究家であり、外食界のカリスマであるペク・ジョンウォンも、このスープの虜になった一人だ。彼がホストを務めたNetflixの人気ドキュメンタリー『ペク・ジョンウォンの天下一食 〜韓国スープ紀行〜』や公式YouTubeチャンネルでは、釜山各地に点在する名店の寸胴鍋の秘密が惜しげもなく解き明かされている。
一見シンプルに見える白濁スープだが、その工程は驚くほど緻密だ。豚の頭骨、ゲンコツ(大腿骨)、背骨の配合比率、血抜きの時間、火加減ひとつで、獣臭さのない澄んだコクを生み出す。ペク氏が番組内で語った「豚肉のあらゆる部位の旨味がスープというキャンバスの上で完璧に調和している」という言葉通り、丼の中に広がる宇宙はどこまでも深い。
3. ソウルと釜山でどう違う?澄まし系と白濁ミルキー系の決定的な差

韓国料理ファンの間でしばしば議論になるのが、ソウルで親しまれる豚クッパと本場・釜山のテジクッパ(豚肉クッパ)のスタイルの違いだ。ソウル周辺の外食シーンでは、近年ミシュランにも掲載されるような豚肉を低温調理した「澄ましスープ(クリア系)」が洗練されたモダンコリアンとして人気を集めている。
一方、釜山のスタンダードは力強い「白濁ミルキー系」だ。骨の髄まで強火で炊き出したコラーゲンたっぷりのスープは、とろりとした舌触りと豚肉本来の野性味あふれる香りが特徴である。さらに釜山近郊の密陽(ミリャン)スタイルは牛骨をブレンドした濃厚派、大邱(テグ)スタイルは内臓をふんだんに使うなど、一口に豚肉スープと言ってもグラデーションは驚くほど豊かなのだ。
4. 韓国観光公社も太鼓判!2026年最新トレンド「ネオ・テジクッパ」の台頭
韓国観光公社が推進する最新のローカルガストロノミーツーリズムにおいても、釜山のクッパ文化は最重要コンテンツとして位置づけられている。特に2026年の現在、広安里(クァンアンリ)や田浦(ジョンポ)カフェ通り周辺では、伝統の味を守りつつ進化を遂げた「ネオ・テジクッパ」の専門店が若者や外国人旅行者の長蛇の列を作っている。
済州島産黒豚の希少部位を炭火で炙ってからトッピングする店舗や、ナチュラルワインやクラフトマッコリとのペアリングを提案するスタイリッシュな店舗まで登場。従来の「安くて早い市場飯」というイメージを覆し、上質な豚肉の旨味をじっくり味わうプレミアムな食体験へと進化を遂げている。
5. 地元民が教える裏技!ニラ(プチュ)とアミの塩辛で極上の味変を極める
運ばれてきたテジクッパをそのまま口に運ぶのは、本場ではまだ早い。テーブルに並ぶ薬味を使って自分好みの味へと育てていくプロセスこそが、この料理の醍醐味だ。まず、テーブルに置かれたアミの塩辛(セウジョッ)を少量スープに溶かす。塩ではなくアミのエキスで塩分とアミノ酸を加えることで、スープの輪郭が一気にくっきりと際立つ。
続いて、甘辛く和えられた生のニラ(プチュ)をスープが熱いうちに豪快に投入する。ニラにしんなり火が通ったところで、赤い辛味調味料(タテギ)を少しずつ溶かし、ご飯を思い切ってスープの中へ沈める。キムチやカクテキを齧りながら、スープを吸ったご飯と柔らかな肉を一気にかき込むのが、地元アジョシ直伝の最も贅沢な食べ方だ。
6. 渡韓前に知るべき本場の味!西面デジクッパ通りとローカル名店の巡り方
釜山に到着したら、まずは地下鉄西面(ソミョン)駅近くの「西面デジクッパ通り」を目指すといい。通り一帯に立ち込める湯気と香ばしさは圧巻で、24時間営業の老舗が軒を連ねる。朝の澄んだ空気の中で食べる胃に優しい一杯は、旅の疲れを完全に吹き飛ばしてくれる。
さらにディープな体験を求めるなら、釜山駅近くの草梁(チョリャン)や、海雲台の市場の片隅にある看板のない名店に足を伸ばしてみるのもおすすめだ。銀色のスプーンを手に取り、熱々のスープを一口すする瞬間、あなたも確実にこの港町が誇る食文化の虜になっているはずだ。 (出典: テジクッパ と は(Yahoo!ニュース))